① 代表メッセージ
デジタル技術の急速な進展により、業界においてはデジタル活用の可否による競争力の二極化が深刻化しています。デジタルツールやシステムを業務オペレーションに組み込めていない企業では、業務遂行が特定の担当者の経験や属人的な判断に依存しやすく、組織全体の生産性および再現性が低下するリスクが高まっています。また、デジタル活用に対する抵抗感が組織内に存在することも、全社的なデジタル化推進を阻む課題であると認識しています。
一方で、デジタルツールやクラウドサービスを活用して業務プロセスを可視化・体系化し、社内で共有可能な形に整理できる企業は、大きな競争優位性を獲得できると考えています。属人的な判断に依存しない再現性の高い業務運営を実現するとともに、顧客対応・案件管理を通じて蓄積されたデータを活用し、新たな付加価値を創出する機会が生まれます。
当社は、この認識のもと、顧客情報・案件情報・営業活動データ等をGoogle Workspace上で一元管理し、Gemini等のAI技術を活用した顧客ライセンスの管理、再契約タイミングの自動検知、営業フォローの自動化を推進することで、データドリブンな経営への転換を図ります。これにより、管理職・担当者が手作業で行っていたバックオフィス業務をデジタル化・自動化し、営業活動により多くのリソースを振り向ける体制を構築します。
これらの取り組みを通じて、変化の激しい市場環境に適応し、持続的な成長を実現してまいります。

株式会社STACK 代表取締役 今井大地
② 経営環境認識とビジョン
<経営ビジョン>
デジタル技術の急速な進展により、当社が事業を展開するWeb制作業界においては、ノーコードツールの普及やAIによるデザイン・コーディングの自動化が進み、制作作業そのものの付加価値が低下するリスクが高まっている。また、デジタルツールやシステムを業務オペレーションに組み込めていない企業では、業務が特定の担当者の経験や属人的な判断に依存し、組織全体の生産性および再現性が低下する課題が顕在化している。
一方で、顧客データ・案件データを蓄積・分析し、AIを活用した再契約タイミングの自動検知や営業フォローの自動化等、データに基づいた改善提案を継続的に提供できる企業には、顧客との長期的な関係構築による安定的な収益機会が生まれると認識している。さらに、顧客対応・案件管理を通じて蓄積されたデータを他業種の顧客へも応用展開できる点は、新たな付加価値創出の機会となる。
当社は、このような経営環境の認識のもと、「Web制作受託会社から、データとAIを活用して顧客の事業成長を継続的に支援するデジタル活用パートナーへ進化する」ことを経営ビジョンとして掲げ、自社の営業・業務プロセス全般をデータドリブンに転換し、顧客データ・商談データの蓄積・分析を通じて営業の属人性を排除し、再現性の高い業務運営体制を確立することを経営ビジョンとする。
<ビジネスモデルの方向性>
上記の経営ビジョンを実現するために、当社は以下の方向性でビジネスモデルの転換を進める。
自社変革を通じて蓄積されたデータ活用のノウハウを基盤とし、従来のWeb制作受託型ビジネスから、ハードウェアの導入支援、広報物のデジタル化、社内オペレーションのデジタル化を含む、企業のデジタル活用全般を継続的に支援するビジネスモデルへ転換する。これにより、顧客企業が人員を大きく増やすことなく、デジタルツールやデータを活用して効率的に情報発信や業務運営を行える環境づくりを支援していく。
③ 当社のDX戦略
当社は、データ活用を中核とした以下のDX戦略を推進する。
■ データ基盤の整備と一元管理
顧客情報、売上データ、案件情報、問い合わせ履歴、営業日報等をGoogle Workspaceにより一元管理し、全社で共有可能なデータ基盤を構築する。AppSheetを用いた社内タスク管理により、業務の進捗をリアルタイムで可視化する。
■ AI活用による営業活動の高度化
蓄積された顧客データ・商談ログをGeminiにより分析し、顧客ライセンスの管理、再契約タイミングの自動検知、営業フォローの自動化を実現する。従来は担当者や管理職が手作業で行っていたこれらの業務をデジタル化することで、営業担当者が顧客対応や提案活動に集中できる環境を整備する。また、過去の成約パターンに基づく最適な提案書の自動生成により、営業プロセスの標準化を図る。
■ 業務プロセスの自動化
Google Apps Script(GAS)を活用し、請求業務等における二重入力や手作業を削減する。また、案件の進捗管理および顧客へ納品したライセンス管理業務について、Looker Studioを活用した自動連携を構築し、バックオフィス業務の生産性向上を図る。
■ データ駆動型新規事業の創出
蓄積された商談データの分析により、成約精度の高い営業パターンをシステム化する。制作受託に加え、データに基づいたWebコンサルティングサービスを顧客へ提供する体制を確立し、収益構造の多角化を図る。
④ ITシステム環境整備方針
当社は、DX戦略を推進するためのIT環境として、以下の整備を行う。
・業務データ一元管理基盤 Google Workspaceを全社共通の業務基盤とし、顧客情報・案件データ・営業日報等を統合管理する。現在、当社のデータ管理は基本的にクラウド環境で運用されており、紙媒体による情報管理はほとんど行っていない。
・タスク管理・可視化ツール AppSheetを用いた社内タスク管理基盤を構築し、業務進捗のリアルタイム可視化を実現する。
・AI分析基盤 GeminiをGoogle Workspace上のデータと連携させ、営業データの分析、再契約タイミングの自動検知、提案書の自動生成の基盤を構築する。また、ChatGPTを活用し、メール作成、コードのチェック、ライティング作成、制作補助等の日常業務においてAIの活用を推進する。
・業務自動化基盤 Google Apps Script(GAS)による請求業務等の自動化、Looker Studioによる案件進捗・ライセンス管理の可視化基盤を整備する。
・投資計画 上記IT基盤整備のため、年間約100万円をDX推進予算として確保している。本予算は、クラウドツール利用料(Google Workspace、Gemini等)、新規デバイス導入費用、および研修費用に充当する。DX推進予算は、DX推進責任者(取締役・青木涼弥)直轄の体制のもと、戦略的に執行する。
⑤ DX推進体制・人材育成
<推進体制>
代表取締役・今井大地がDX推進の総括責任者として戦略全体を統括し、DX戦略の推進責任者として取締役・青木涼弥を任命し、DXに関する日常的な実行管理の権限を付与する。同責任者のもと、全社横断でDX施策の進捗管理・データ管理・ツール運用を統括する体制を構築する。四半期ごとにDX推進会議(コアメンバー全体会議)を開催し、KPIの進捗確認および施策の見直しを行う。
<人材育成>
当社では、社員一人ひとりがデジタル技術を主体的に活用し、業務改善に取り組める人材となることを重視している。
具体的な育成施策として、毎月第2金曜日の2時間を「DXツール共有会」として業務時間内に確保し、各社員が試行したITツール・AI活用事例を全社で共有する場を設けている。また、外部の技術動向や最新ツールに関する情報を継続的に収集し、社内に展開することで、特定の担当者に依存しない、組織全体としてのデジタル活用能力の向上を図る。
⑥ DXロードマップ
当社は、以下のステップでDXを推進する。
【1年目:デジタル基盤の確立とデータ集約】
Geminiを活用し、散在している顧客情報・商談ログ・見積データをGoogle Workspace上に集約する。Google Driveを活用したペーパーレス化を完了させる。
目標:顧客データの一元管理率100%を達成し、属人的な管理を撤廃する。
【2年目:AI・自動化による業務プロセスの変革】
Geminiを営業プロセスに組み込み、過去のデータに基づいた再契約タイミングの自動検知および最適な提案書の自動生成を試行する。Looker Studioを活用し、案件の進捗管理および顧客へ納品したライセンス管理業務の自動連携を開始する。
目標:営業事務工数を20%削減し、顧客との対面時間を増加させる。
【3年目:データ駆動型ビジネスモデルへの転換】
蓄積された商談データの分析により、成約精度の高い営業パターンをシステム化する。制作受託だけでなく、データに基づいたWebコンサルティングを顧客へ提供する体制を確立する。
目標:新規事業(コンサルティング)の売上比率を10%まで引き上げる。
⑦ KPI(指標)
当社はDX戦略の達成状況を評価するため、以下の指標を設定する。
DX戦略「データ基盤の整備と一元管理」の達成指標として、顧客情報・案件情報・営業日報等の主要データの登録率を100%とすることを目標とする。
DX戦略「AI活用による営業活動の高度化」の達成指標として、契約更新管理および営業フォローの実施率を100%とすることを目標とする。
DX戦略「業務プロセスの自動化」の達成指標として、バックオフィス業務にかかる時間を30%削減することを目標とする。
DX戦略「データ駆動型新規事業の創出」の達成指標として、データに基づくWebコンサルティングサービスの売上比率を3年以内に10%とすることを目標とする。
これらの指標については、DX推進責任者(取締役・青木涼弥)が中心となり、四半期ごとのコアメンバー全体会議にて進捗状況の確認および評価を行い、必要に応じて施策の見直しを実施する。
⑧ セキュリティ方針
当社は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が提唱する「SECURITY ACTION」制度に基づき、二つ星を宣言した(宣言番号:50000024658)。
情報セキュリティ基本方針を策定し、以下の対策を実施・運用している。
・ウイルス対策ソフトの導入・運用 ・データのバックアップ体制の構築 ・アクセス権限の設定による情報管理 ・パスワードルールの策定・運用 ・社員へのセキュリティ教育の実施
これらの対策を通じて、安全なデータ管理体制を構築・運用し、DX戦略の推進に不可欠な情報資産の保全を図る。
⑨ 経営課題の把握と分析
代表取締役は、DX推進指標による自己診断を2026年4月に実施し、その結果「データ活用」の項目が最も低い評価となった。
具体的には、顧客情報・案件情報が個人のスプレッドシートやメールに散在しており、全社的なデータ活用の仕組みが構築されていないことが課題として明らかとなった。また、請求業務等において複数のシステムや管理方法に対して同一内容を入力する必要があるなど、二重入力が発生しており、業務量の増加に対して効率的に対応できていない状況も確認された。さらに、担当者しか内容を把握していない業務が一部存在しており、業務内容や判断基準が共有されにくい属人化の問題も認識された。
これらの課題は、2024年12月10日開催の取締役会において既に経営課題として認識されており、同取締役会において決議したDX戦略(データ基盤の整備およびAI活用による営業プロセスの標準化)の有効性が、2026年4月の自己診断結果により改めて裏付けられた。今後も、DX推進指標を用いた自己診断を継続的に実施し、経営課題の把握および戦略の見直しを行う。
意思決定機関の承認
本DX推進方針は、2024年12月10日開催の取締役会において承認・決議され、当社ウェブサイトにて公表するものである。
策定日:2024年12月10日
公表日:2026年4月17日
