「『データをクラウドに保存して』と言われたけど、クラウドって何?」「空に浮かぶ雲と関係あるの?」 そんな疑問を持ったことはありませんか?
ビジネスの現場で当たり前のように使われる「クラウド」という言葉。しかし、その正体は意外と知られていません。
大丈夫です!この記事では、「クラウド」の正体を、専門用語を一切使わずに、身近な例え話でゼロから解説します。読み終わる頃には、あなたも自信を持ってクラウドを語れるようになっているはずです。
結論:クラウドとは「インターネット経由で使えるサービス」のこと
まず結論からお伝えします。 クラウドとは、一言でいえば「インターネット経由で、必要な時に必要なだけ利用できるサービス」のことです。
もっとイメージしやすく言うと、「インターネット上にある巨大な倉庫や、高性能な工場を、月額料金や使った分だけの料金で借りられるサービス」だと考えてみてください。自前で倉庫や工場を持たなくても、手軽にその機能だけを利用できる。それがクラウドの基本的な考え方です。
実はあなたも毎日使っている!身近なクラウドサービスたち
「自分はクラウドなんて使ったことがない」と思っている方も、実はほぼ毎日、クラウドサービスに触れています。例えば、以下はすべてクラウドサービスの一種です。
- Gmail や Yahoo!メール などのWebメール
- YouTube や Netflix などの動画配信サービス
- Googleドライブ や Dropbox などのオンラインストレージ
- Instagram や X (旧Twitter) などのSNS
これらのサービスは、自分のパソコンにソフトウェアをインストールしなくても、インターネットに繋さえすれば利用できますよね。これがクラウドの大きな特徴です。「なんだ、そういうことか!」と、少し身近に感じていただけたのではないでしょうか。
【図解】クラウドの仕組みは「電力会社」と同じ!オンプレミスとの違い
クラウドの便利さを理解するために、かつての主流だった「オンプレミス」という仕組みと比較してみましょう。ここでは「電気」に例えてみます。
かつての主流「オンプレミス」は大変な「自家発電」
オンプレミスとは、自社でサーバー(データを保存したり処理したりする高性能なコンピュータ)などの機材を購入し、社内に設置して、自分たちで管理・運用する方法です。 これを電気に例えると「自家発電」です。
自前で大きな発電機を買い、それを置くための場所を確保し、燃料を補給し、専門の技術者が24時間体制でメンテナンスする…。非常に大きな初期費用と、継続的な維持コスト、そして専門知識が必要で大変ですよね。
これからの主流「クラウド」は便利な「電力会社」
一方、クラウドは、GoogleやAmazonといった巨大な企業が運営するデータセンター(超巨大な発電所)から、インターネットという名の電線を通じて、必要なサービス(電気)を使いたい分だけ利用するイメージです。これが「電力会社」の仕組みです。
私たちは、発電機を持たなくても、壁のコンセントにプラグを挿すだけで電気が使えます。使った分だけ電気代を払い、発電所のメンテナンスや管理はすべて電力会社がやってくれます。クラウドもこれと全く同じで、非常に手軽で効率的なのです。

なぜ「クラウド(雲)」と呼ばれるの?(ちょっと豆知識)
ちなみに、なぜ「クラウド(雲)」と呼ばれるのでしょうか? これは、昔、IT技術者たちがネットワークの構成図などを描く際に、インターネットのような「自分たちの手元にはない、向こう側にある複雑なネットワーク」の部分を、よく「雲のマーク」で省略して表現していたことに由来します。その雲の向こう側にあるサービス、という意味で「クラウド」という愛称が定着したのです。
中小企業がクラウドを使うべき4つの大きなメリット
この便利なクラウドは、特に中小企業にとって大きなメリットをもたらします。
メリット1:初期費用を抑え、すぐに始められる
自前で高価なサーバーやソフトウェアを買う必要がありません。多くは月額制で、低価格なプランから始められるため、初期投資を大幅に抑え、スピーディにビジネスをスタートできます。
メリット2:場所や端末を選ばず、どこでも仕事ができる
データやサービスはインターネット上にあるため、インターネット環境さえあれば、オフィスのPC、自宅のノートPC、外出先のスマートフォンなど、様々な場所や端末から同じように仕事ができます。リモートワークとの相性も抜群です。
メリット3:面倒な管理やメンテナンスから解放される
システムのアップデートやセキュリティ対策、サーバーの物理的な管理といった専門的で面倒な作業は、すべてサービス提供事業者が行ってくれます。「IT専門の担当者がいない」という中小企業でも、安心して最新かつ安全な環境を利用できます。
メリット4:事業の成長に合わせて柔軟に規模を変えられる
事業が成長して利用者やデータ量が増えた場合でも、プランを変更するだけで簡単かつ迅速にシステムを拡張できます。逆に、事業規模を縮小する場合も柔軟に対応でき、無駄な投資を避けることができます。
知っておきたいクラウドのデメリット(注意点)
もちろん、クラウドにも注意すべき点はあります。
注意点1:セキュリティ対策は、提供事業者に依存する部分もある
非常に高度なセキュリティ対策が施されていますが、そのレベルはサービス提供事業者に依存します。また、自社でのID・パスワード管理といった基本的な対策を怠ると、リスクになる点はオンプレミスと同じです。
注意点2:カスタマイズの自由度が低い場合がある
クラウドは多くの企業が利用する既製品のサービスです。そのため、自社の特殊な業務フローに合わせてシステムを細かく作り変える、といった自由度は低い場合があります。
注意点3:使った分だけ費用がかかる(ランニングコスト)
初期費用が安い反面、利用する限り月額費用などのランニングコストが発生します。利用状況を把握しないまま多機能なプランを使い続けると、気づかないうちにコストが増大する可能性もあります。
【おまけ】SaaS、PaaS、IaaSって何?料理に例えると超簡単!
クラウドサービスは、提供される範囲によって、主に以下の3種類に分けられます。難しく聞こえますが、料理に例えると一瞬で理解できます。
- SaaS(サース):完成品の料理を注文する「レストラン」。ソフトウェアやアプリケーションの形で提供され、すぐに利用できます。(例:Gmail, Salesforce)
- PaaS(パース):キッチンだけ借りて、自分で好きな料理を作る「レンタルキッチン」。アプリケーションを開発するための環境が提供されます。
- IaaS(イアース):土地と水道・ガス・電気だけ借りて、店(システム)から自分で建てる「土地のレンタル」。サーバーやネットワークといったITインフラが提供されます。
(まとめ) クラウドは、ビジネスを身軽にする強力な味方
ここまで見てきたように、クラウドはもはや一部のIT企業だけのものではありません。 初期投資を抑え、面倒な管理から解放され、ビジネスの変化に柔軟に対応できるクラウドは、中小企業が事業を成長させるための「強力な味方」です。
この味方を賢く使うことで、ビジネスはもっと身軽になり、その可能性は大きく広がります。
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