企業がブランド力を高めていくうえで、Webサイトの設計は大きな役割を果たします。中でも、コーポレートサイトとサービスサイトは目的も役割も異なりますが、混合してしまっている方も多いのが現状です。両者を同じページ構成のまま一括で扱ってしまうと、かえってユーザーに「何の会社で、何を提供しているのか」が伝わりづらくなってしまいます。

本記事では、ブランディングに力を入れたい企業や個人を対象に、コーポレートサイトとサービスサイトの違い、役割、そして分けて設計するメリットを解説します。自社のブランディングやWeb上のマーケティング戦略を見直す上で、ぜひご参考ください。

また、「ブランディング」と「マーケティング」の違いについてより深く理解したい方は、以下の記事も参考になります。

🔗「マーケティング」と「ブランディング」はどちらを先に進めるべきか?


1. コーポレートサイトとは?

コーポレートサイトは企業そのものを説明する「会社の顔」として機能し、ブランドイメージの形成や信頼性向上において中心的な役割を果たします。

1-1. コーポレートサイトの目的

コーポレートサイトの主な目的は、企業の情報を公式に発信し「信頼」を構築することです。

  1. 会社概要や事業内容を正しく伝える
  2. 投資家・取引先・求職者などへの情報提供
  3. ブランドイメージの向上
  4. 企業姿勢や理念の発信
  5. IR情報やプレスリリースの公開

特に、ブランディングを重視する企業にとって、コーポレートサイトは「何をしている会社なのか」「どんな価値観で事業を行っているのか」を示す場として欠かせません。

1-2. コーポレートサイトに必要なコンテンツ

コーポレートサイトには企業の信頼性を担保するための「網羅的な情報」が求められます。

コンテンツ名説明主な目的
会社概要沿革・所在地・代表者情報などを掲載。「どんな会社か」を正しく知ってもらう。
事業内容企業が展開する事業やサービス領域の紹介。会社が何をしているかをわかりやすく伝える。取引先・求職者への説明。
採用情報募集要項・働き方・福利厚生・社員インタビューなどを紹介。求職者に企業の魅力を伝え、応募を促す。
プレスリリース/ニュース企業から最新情報や発表事項を公式に発信。メディア・投資家・顧客に最新の動向を知らせる。
IR情報決算情報・財務データ・株主向け資料などを掲載。投資家・株主に向けて透明性の高い情報を公開し安心してもらう。
企業理念・ビジョン・ミッション企業の価値観・目指す方向性・社会的役割を示す内容を紹介。会社の大切にしている想いを知ってもらう。
お問い合わせ問い合わせフォームや連絡先を掲載。困ったことや質問を簡単に送れるようにするため。
サステナビリティ情報環境・社会・ガバナンス(ESG)への取り組みを掲載。地球や社会のために何をしているかを伝えるため。

これらは、企業に関心を持つあらゆる利害関係者に向けられたコンテンツであり、サービス紹介やセールス中心のページとは性質が異なります。

1-3. コーポレートサイトとサービスサイトの3つの違い

両者には、主に次の3つの大きな違いがあります。

目的の違い

コーポレートサイト:信頼構築・企業理解

サービスサイト:集客・コンバージョン

ターゲットの違い

コーポレートサイト:取引先、投資家、求職者、メディアなど

サービスサイト:顧客見込み層(サービスを検討するユーザー)

UI・導線設計の違い

コーポレートサイト:情報量が多く、網羅性重視

サービスサイト:問い合わせや資料請求などのCV導線を最適化

ここで、世界的なユーザビリティ研究機関である Nielsen Norman Group も、企業サイトとサービスサイトの目的の違いについて次のように指摘しています。

「企業サイトでは企業を知ってもらうための情報が期待される一方で、サービスサイトでは行動(購入・資料請求など)を促すための設計が必須です。」
— Nielsen Norman Group 「About Us Information on Corporate Websites」より引用


2. サービスサイトとは?

サービスサイトは、商品・サービスの魅力を伝え、ユーザーに行動を促すことに特化した「販促型サイト」です。

2-1. サービスサイトの目的

サービスサイトの主目的は、見込み顧客を獲得し、売上につながる行動を促すことです。

  • サービス理解の促進
  • 特徴・強みの訴求
  • 導入事例の紹介
  • 資料請求やお問い合わせへの誘導
  • SEOによるリード獲得

コーポレートサイトが「企業」を語る場所なのに対し、サービスサイトは「サービスを売る場所」です。

2-2. サービスサイトに必要なコンテンツ

ユーザーがサービスを比較・検討しやすいよう、情報構成はシンプルかつ訴求が明確である必要があります。

コンテンツ名説明主な目的
サービスの特徴・メリットサービスの強み・機能・価値をわかりやすく説明する内容。ユーザーにサービスの魅力を理解してもらい、比較検討を後押しする。
料金プランプラン・価格・オプション・無料トライアル等の情報を掲載。ユーザーがコスト感を把握し、導入判断をしやすくする。
導入実績・事例導入企業の声・活用事例・ビフォーアフターなど。信頼性を高め、導入後のイメージを具体的に持ってもらう。
よくある質問(FAQ)ユーザーが事前に知りたい疑問を整理し回答する。問い合わせ件数の削減・導入不安の払拭・CVR向上につながる。
サポート内容導入後の支援、問い合わせ先、運用サポートの説明。導入後の不安を取り除き、安心してサービスを選択してもらう。
競合との差別化ポイント他社との違い、独自性、強み、選ばれる理由を明確化。選定理由を補強し、ユーザーの比較検討を有利に進める。
コンバージョン導線(CTA)資料請求・お問い合わせ・無料相談・申込みのボタンや配置。サービスサイトの最終目的である「行動を促す」役割を果たす。

サービスサイトは「訴求力」「読みやすさ」「比較しやすさ」が成功の鍵となります。

2-3. コーポレートサイトとサービスサイトを分けるメリット

両者を分けて設計するメリットは多数あります。

  • ブランドの重心がブレない
    企業情報とサービス情報が混在しないため、ユーザーが迷わない。
  • SEOの戦略が明確になる
    サービスは検索ボリュームの高いキーワードに集中できる。
  • コンバージョン率(CVR)が向上する
    サービス専用に導線設計を最適化できる。
  • 企業としての信頼を高める
    コーポレートサイト側で企業姿勢を訴求し、サービスサイト側で価値を示すことで相乗効果が生まれる。

3. サイト制作における棲み分け

企業のブランド・集客・採用をすべて同じサイトでカバーしようとすると、それぞれの目的が干渉し合い、メッセージが伝わりづらくなります。そこで重要になるのが、目的ごとのサイト棲み分けです。

3-1. コーポレートサイト

  • 企業の姿勢と信頼を示す場
  • ブランドメッセージや企業理念を丁寧に掲載
  • メディア・投資家・求職者・取引先に向けた情報が中心

特にブランディング強化を狙う企業では、コーポレートサイト内の「理念」「ビジョン」「ストーリー」の質が重要になります。

3-2. サービスサイト

  • 集客・資料請求・お問い合わせなどのCV最大化が主目的
  • 競合比較を踏まえた具体的な訴求
  • 事例や料金、FAQなど検討フェーズの情報が中心

LP(ランディングページ)と連動させることで、より高い成果を目指すことができます。

3-3. 採用サイト

採用サイトは、求職者に「ここで働きたい」と思ってもらうための専用サイトです。

  • 社員インタビュー
  • 働き方・カルチャーの紹介
  • キャリアパス
  • 求職者向けFAQ
  • 条件・募集要項など

採用強化が必要な企業は、サービスサイトとコーポレートサイトとは別で用意すると成果が出やすくなります。


まとめ|役割を整理すればサイトの価値はもっと高まる

コーポレートサイトとサービスサイトは見た目こそ似ていても、目的・ターゲット・必要な情報が大きく異なります。
両者をきちんと分けて設計することで、

  • ブランド価値の向上
  • サービスの魅力訴求
  • CVR向上
  • SEO最適化
  • 求職者への訴求強化

といった多方面の成果が期待できます。

ブランディングに力を入れたい企業こそ、「企業」「サービス」「採用」という目的別のサイト棲み分けが長期的な成長につながります。自社のWeb戦略を立てる際は、ぜひ今回の内容を参考にしてみてください。