X(旧Twitter)やInstagramなど、私たちが日常的に使うSNS。しかし、運営会社による一方的な仕様変更や、アルゴリズムの不透明さに、一喜一憂していませんか?

そんな中、次世代のSNSとして「分散型SNS」が大きな注目を集めています。この記事では、分散型SNSの仕組みと、既存のSNSとの決定的な違い、そして今注目すべき具体的なサービスまで、分かりやすく解説します。

結論:分散型SNSとは「特定の会社が運営しない、自由なSNS」

まずシンプルな結論からお伝えすると、分散型SNSとは、特定の巨大企業(プラットフォーマー)が中央集権的に管理・運営するのではなく、世界中に分散した多数のサーバーを個人や団体が運営し、それらが相互に繋がることで成立しているSNSのことです。

最大の特徴は、ユーザーやコミュニティが主導権を持つ、より自由でオープンな思想に基づいている点です。

なぜ今、分散型SNSが注目されているのか?

この新しい形のSNSが注目される背景には、私たちが感じている既存SNSへの不満や不安があります。

既存SNSへの不満と不安

・運営会社による一方的な仕様変更: ある日突然、デザインや機能が大きく変わってしまう。

・不透明なアルゴリズム: なぜその投稿が表示されるのか、されないのかが分からない。

・突然のアカウント凍結リスク: 運営会社の判断一つで、これまでの投稿や繋がりが失われる可能性がある。

・データの独占: 私たちが投稿したデータはすべて、プラットフォーム企業が管理・利用している。

Web3.0の流れと「データの自己主権」

前回の記事で解説したWeb3.0の思想、すなわち「自分自身のデータは、自分自身で所有し、管理するべきだ」という「データの自己主権」の考え方が、SNSの世界にも波及してきたのが分散型SNSの登場の大きな背景です。

分散型SNSは、Web3.0が目指す世界観を、最も身近な形で体験できる存在とも言えます。
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既存SNSと分散型SNS、仕組みの違い

両者の違いを、「国」に例えてみましょう。

既存の中央集権型SNS:「一つの巨大な国」

XやInstagramといった既存のSNSは、「一つの巨大な国」のようなものです。すべての国民(ユーザー)は、その国に住み、その国の法律(利用規約)に絶対的に従わなければなりません。国の王様(運営会社)が、インフラからルール作りまで、すべての権力を持っています。

分散型SNS:「小さな独立国家の連合体」

一方、分散型SNSは「小さな独立国家の連合体」に似ています。世界中に、異なる文化やルールを持つ小さな独立国家(サーバー/インスタンス)が多数存在し、あなたは自分の思想に合う国を選んで所属できます。そして、国同士は条約(プロトコル)で緩やかに繋がっており、他の国の人とも自由に交流できるのです。

2025年、注目すべき分散型SNSの代表例

現在、いくつかの分散型SNSが注目を集めています。

Mastodon(マストドン)

最も歴史のある分散型SNSの一つです。「インスタンス」と呼ばれる、趣味や地域、専門分野など様々なテーマのサーバーが世界中に無数に存在し、ユーザーは好きなインスタンスに参加します。各インスタンスには独自のルールがありますが、異なるインスタンスのユーザーとも繋がることができます。

Bluesky(ブルースカイ)

X(旧Twitter)の共同創業者であるジャック・ドーシー氏が支援するプロジェクトとして注目を集めました。シンプルな操作性と、「ATプロトコル」という新しい分散型技術を採用しているのが特徴で、将来的にユーザーが自分のデータを他のサービスに簡単に移動できるようになることを目指しています。

Nostr(ノストル)

特定の運営サーバーに依存しない、より純粋な「プロトコル(通信規約)」です。特定の会社や団体が運営するサービスではなく、ユーザーは好きなクライアントアプリを選んで、この規約に沿って情報をやり取りします。そのため、検閲に対する耐性が非常に高いとされています。

(まとめ) 分散型SNSは、SNSの未来を考える「新しい選択肢」

分散型SNSは、まだ発展途上であり、ユーザー数や使いやすさの面では既存のSNSに及ばない点も多くあります。 しかし、中央集権的なプラットフォームが抱える問題点へのカウンターとして登場したこの新しい動きは、SNSの未来、ひいてはインターネットの未来を考える上で、非常に重要な「選択肢」と言えるでしょう。

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