推し活から生まれた新しいプロモーションの形…

近年、駅構内や街中で
「〇〇誕生日おめでとう」「デビュー◯周年おめでとう」
といった広告を目にする機会が増えています。

これらは企業が出稿している広告ではなく、
ファン自身が主体となって掲載している「応援広告」です。

SNSや推し活文化の広がりとともに、
応援広告は単なるファン活動を超え、
ブランドやIPの価値形成にも影響を与える存在になりつつあります。

本記事では、応援広告の概要と企業やブランドにとっての意味を考えます。

1. 応援広告とは何か?

応援広告とは、ファンが自発的に企画・費用を負担し、特定の人物・作品・チームなどを応援する目的で掲示する広告を指します。

応援広告の特徴は、広告の主体が企業ではなく「ファン」である点です。
商品を売るためでも、サービスを訴求するためでもなく、
「応援したい」「祝福したい」「想いを形にしたい」という動機から生まれています。

そのため、広告表現も
・誕生日や周年を祝う
・感謝の気持ちを伝える
・存在そのものを肯定する
といった、感情的・共感的な内容が中心になります。

なぜファンが「勝手に広告」を出すのか

なぜファンはお金と時間をかけてまで広告を出すのでしょうか。

その背景には、「消費」から「参加・表現」への応援の形の変化があります。

CDを買う、グッズを買う、といった従来の応援は、あくまで個人の行動にとどまっていました。

 一方、応援広告は、

・複数人で企画し
・想いを言葉にし
・街という公共空間に可視化する

という点で、応援そのものが「表現」になります。

SNSだけでは伝えきれない想いを、現実空間に残したいという欲求。そして、「応援している自分たち」を肯定したいという感情。
これらが、ファンにとっての価値として応援広告という行為を後押ししています。

2. 応援広告の広がり

応援広告は、特定のジャンルに限らず、さまざまな分野で見られます。

・アイドルやアーティストの誕生日・記念日広告
・アニメ・ゲーム作品の周年広告
・スポーツ選手やチームへの応援広告
・K-POPを起点としたグローバルなファン広告文化

現在では、エンタメ業界のみならず、鉄道会社や広告代理店が応援広告専用のプランを用意するなど、制度面・インフラ面でも受け入れが進んでいます。

また、応援広告の広がりには、いくつかの環境変化があります。

一つは、SNSの普及です。
ファン同士がつながり、想いを共有し、企画を立ち上げやすくなりました。

もう一つは、クラウドファンディング的な資金集約の考え方です。
一人では難しくても、 少額を持ち寄ることで広告掲載が可能になります。

そして重要なのが、
「非公式だが否定されない」文化の成立です。
企業側が過度に排除せず、一定のルールのもとで黙認・容認してきたことが、
応援広告を文化として根付かせたと考えられます。

3. 企業・ブランドにとっての応援広告の意味

企業視点で見ると、応援広告は企業が語るブランド価値ではなく、
ファンが語るブランド像が、街に現れる現象として非常に特殊な存在です。

しかし、そこには、企業発信よりも強い説得力が生まれることがあります。
なぜなら、「そのブランドを好きな人が自発的に語っている言葉」だからです。

応援広告は、単なる広告というよりも、
ブランドに対するファンの共感の証と言えます。

まとめ|応援広告は企業の広報以上の価値を持つ

応援広告は、売るための広告ではなく、想いを伝えるための広告です。

そこにあるのは、企業とファンの関係性、ブランドと生活の距離感、
そして、「誰が語っているのか」という視点です。応援広告の広がりは、これからのブランドづくりにおいて、企業が何を語るか以上に、誰が語ってくれるかが重要になることを示しています。