何かを買う前に、お店の口コミやSNSの投稿を確認するー 今では、多くの人が自然に行っています。こうした、お客様自身が発信する声を生かすのが、UGCマーケティングです。
インターネットで誰もが情報を得られる今、企業側からの「おすすめです」という発信は、以前ほど響かなくなっています。その一方で、実際に使った人の生の声は、強い説得力を持ちます。買う前に他の人の感想を調べるのが当たり前になり、この声をどう生かすかが、集客の分かれ目になりつつあります。
この記事では、UGCとは何か、なぜマーケティングで注目されるのか、そして中小企業がどう活用すればよいのかを、注意点も含めてわかりやすく解説します。
▼ 自社のSNSや口コミの生かし方に悩んでいる方へ。
結論:お客様の声を借りて信頼を伝える手法
UGCマーケティングとは、お客様が自発的に投稿した口コミや写真といったコンテンツを活用し、商品やサービスの魅力を伝えていく手法のことです。
企業からの一方的な宣伝ではなく、第三者であるお客様の声だからこそ、見た人に信頼されやすいという特徴があります。しかも、多くは広告費をかけずに生まれるため、限られた予算の中小企業とも相性のよい方法です。
ただし、他人が作ったコンテンツを扱う以上、著作権や表示のルールには注意が必要です。この点は後半で詳しく説明します。
UGCとは

まずは、UGCという言葉の意味を押さえておきましょう。
UGCとは、英語のUser Generated Contentの略で、日本語ではユーザー生成コンテンツと呼ばれます。企業ではなく、一般のユーザーが自発的に作成・投稿したコンテンツの総称です。企業が広告として発信するコンテンツとは、作り手が異なる点が大きな違いです。
具体的には、SNSへの投稿、商品のレビューや口コミ、ブログ記事、写真や動画、ハッシュタグをつけた投稿、Q&Aサイトの回答などが含まれます。共通しているのは、企業が作ったものではなく、実際に使った人や興味を持った人が、自分の意思で発信したものだという点です。
なぜUGCがマーケティングで注目されるのか
数ある手法の中で、なぜUGCがこれほど重視されるのでしょうか。その理由を見ていきましょう。
最大の理由は、信頼されやすいことです。企業自身が「おすすめです」と言うより、実際に使った第三者が「良かった」と語るほうが、見る人は素直に受け止めます。等身大の生の声には、宣伝にはない説得力があります。
次に、拡散のしやすさです。お客様がSNSに投稿すれば、その人のフォロワーへと自然に広がっていきます。企業が発信するだけでは届かない層にも、口コミを通じて届く可能性があります。
そして、コストを抑えられることです。UGCは、お客様が自発的に生み出すものが中心です。そのため、広告費を大きくかけなくても、認知や好感度を高められる点が魅力です。
このような信頼・拡散・低コストという特徴の背景には、消費者の意識の変化があります。多くの人が、企業からの一方的な広告をそのまま信じるのではなく、実際に使った人の体験や、身近な人の感想を重視するようになりました。SNSの普及で、そうした声に触れる機会が格段に増えたことも、UGCの存在感を高めています。作り込まれた宣伝よりも、飾らない本音が響く時代になったといえます。
さらに、お客様との関係が深まることも見逃せません。投稿を紹介したり、寄せられた声に反応したりすることで、お客様は自分が大切にされていると感じます。そうした一人ひとりが、やがて自社を応援してくれるファンへと育っていきます。
ファンが自発的に発信してくれる力については、「ファンが勝手に広告?推し活が生んだ新しい共感の形!応援広告って一体なに?」でも詳しく紹介しています。
UGCの主な種類
ひとくちにUGCといっても、さまざまな形があります。代表的なものを整理しておきましょう。
一つ目は、口コミやレビューです。通販サイトや地図サービス、予約サイトなどに投稿される評価やコメントが当てはまります。購入を検討する人が、最もよく参考にするものの一つです。
二つ目は、SNSの投稿です。お客様が商品やお店の写真とともに感想を投稿するものです。ビジュアルで伝わりやすく、拡散もされやすいのが特徴です。
三つ目は、ハッシュタグをつけた投稿です。特定のキーワードで投稿を集めることで、同じ話題の声がまとまり、多くの人の目に触れやすくなります。
四つ目は、ブログ記事や使用レビュー動画、Q&Aサイトの回答などです。じっくりと使い心地を語る内容が多く、検討段階の人の背中を押す力があります。
UGCが生まれる土台は「良い体験」

活用方法に入る前に、大前提を一つお伝えします。UGCは、お客様が「誰かに伝えたい」と感じたときに生まれます。その気持ちの源は、商品やサービス、接客に満足したという良い体験です。
つまり、どんなに投稿を促す仕掛けを用意しても、体験そのものが物足りなければ、良い声は集まりません。逆に、満足度の高い体験を提供できていれば、少しのきっかけで自然とUGCは生まれていきます。小手先のテクニックの前に、まず自社の商品やサービスの質を大切にすること。これが、UGCマーケティングの本当の土台です。
中小企業でのUGCの活用方法
では、実際にどう活用すればよいのでしょうか。中小企業でも取り組みやすい方法を紹介します。
口コミやレビューを集めて掲載する
まずは、お客様の声を集めることから始めましょう。商品を購入した方やご来店いただいた方に、レビューや口コミの投稿をお願いします。集まった声は、許可を得たうえで、自社サイトやSNSで紹介すると効果的です。良い声が並んでいるだけで、新しいお客様の安心につながります。星の数やコメントの多さは、それ自体が選ばれる理由になります。
SNSの投稿を紹介する
お客様が自社の商品やお店について投稿してくれたら、本人の許可を得たうえで、自社のアカウントで紹介する方法があります。紹介されたお客様は喜び、それを見た他の人も投稿してみようという気持ちになります。良い循環が生まれます。
投稿してもらうきっかけをつくる
UGCは、お客様が自発的に投稿することで生まれます。そのきっかけとして、覚えやすいハッシュタグを用意したり、写真を撮りたくなる工夫をお店に取り入れたりすると、投稿が生まれやすくなります。話題にしやすい、シンプルな仕掛けがポイントです。難しく考えず、お客様が思わず撮りたくなる、話したくなる場面をつくることを意識しましょう。
寄せられた投稿にきちんと反応する
お客様が投稿してくれたら、コメントやいいねで感謝を伝えましょう。反応があると、お客様は次も投稿しようという気持ちになります。丁寧なやりとりの積み重ねが、継続的にUGCが生まれる土壌をつくります。
UGCを活用するときの注意点
UGCは効果的な一方で、他人が作ったコンテンツを扱うからこそ、守るべきルールがあります。ここはとくに重要なので、しっかり押さえておきましょう。
無断で使わない、必ず許可を得る
お客様が投稿した写真や文章の著作権は、原則としてその投稿者にあります。そのため、企業が勝手に転載したり、広告に使ったりすると、著作権の侵害になることがあります。自社で紹介したい場合は、必ず本人に連絡し、許可を得てから使いましょう。
人物の写り込みにも配慮する
投稿写真に人物が写っている場合は、肖像権への配慮も必要です。本人以外の人が写っているときは、その扱いにも注意しましょう。
広告であることを隠さない
見落としがちなのが、表示のルールです。2023年10月に施行されたステマ規制により、企業からの働きかけがあった投稿は、広告として扱われる場合があります。たとえば、割引や商品の提供、プレゼントなどの見返りを伴ってお客様に投稿してもらう場合は、広告や宣伝であることが分かるよう、「PR」といった表記を明確にする必要があります。これを怠ると、景品表示法の違反となり得ます。
二次利用の範囲を確認する
一度許可を得たコンテンツでも、使う範囲には注意が必要です。たとえば、あるSNS向けに許可をもらった投稿を、別の媒体や広告に転用する場合は、あらためて許可が必要なことがあります。また、動画に市販の楽曲が使われている場合は、その楽曲の権利にも配慮しなければなりません。使う前に、どこまで使ってよいかを確認しておきましょう。
UGCとインフルエンサー活用の違い
似た話としてインフルエンサーの活用がありますが、UGCとは性格が異なります。
インフルエンサー活用は、影響力のある人に依頼して発信してもらう手法です。一方、UGCの本来の価値は、一般のお客様が誰にも頼まれずに、自分の意思で発信する自発性にあります。飾らない本音だからこそ信頼される、という点が持ち味です。
ただし、企業が見返りを渡して投稿を依頼した場合は、たとえ相手が一般のお客様でも、広告として扱われ、先ほど触れたステマ規制の対象になり得ます。自発的な声を生かすのか、依頼して発信してもらうのか、その違いを意識しておくことが大切です。
まとめ
UGCマーケティングは、お客様自身の声を生かして、信頼と共感を広げていく手法です。企業の宣伝よりも受け入れられやすく、広告費を抑えながら取り組める点で、中小企業にこそ向いています。
活用のポイントは、口コミやSNSの投稿を集めて紹介すること、そして投稿してもらうきっかけをつくることです。一方で、他人のコンテンツを扱う以上、必ず許可を得ること、広告であることを隠さないことなど、ルールを守ることが欠かせません。
まずは、自社にすでに寄せられているお客様の声に目を向け、それを生かすところから始めてみてはいかがでしょうか。特別なツールがなくても、今ある口コミを紹介するだけで、第一歩を踏み出せます。
▼ SNSを使ったマーケティングの進め方に悩んだときは。
